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ヴィッツでＧＯ！（2）(11/13)
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「車で旅行？」 「うん、発ちゃんが連れてってくれるんだって。行っていーさ？」 天化は姫発と別れて家に戻ると、まず兄に話を持ちかけた。 「ドコ行くの」 「伊豆って言ってたさ」 「伊豆、ねえ…」 天禄が詳しく話を聞くと、姫発が新車を使って、友人と旅行の予定を立てていたのが相方がキャンセルになってしまったという。 「お向かいの家の発ちゃん」はそもそも天禄と同年代で馴染みだった。天化は兄にくっついて、お兄さんのお友達と遊んで貰っていたというわけで、そもそも天禄の方が、今の姫発の状況については詳しい。 彼が会社で営業で、営業車に乗っているのも、あまつさえ時々起こるらしい緊急事態にはライトバンや1.5トントラックを運転して物を運んでいるのを天禄は知っている。きっと運転に不安はない、と思われる。倉庫街のある有明・青海方面とかよく行くらしいから、デートスポットを間近に見ながら仕事するんだろうな平日の昼間っから…と思うと、可哀想にならないでもない。 そんなこんなを思い出しつつ、天禄は、この旅行に反対するつもりは特にないが（またそんな理由もない）、気になることはある。 天禄は居間の電話を取って、お向かいさんのダイヤルをまわした。 「発、電話」 「はーい」 姫家で長男の伯邑考が電話を取り、弟の部屋の子機につなぐ。 「下ろしていいよー」 姫発の声が上から聞こえて、伯邑考は親機の側の受話器を下ろした。 「もしもし？」 『あ、うん。おひさしぶりー』 「旅行の件か？」 『うん、やっぱ直接と思って』 天禄はそうして旅行の詳しい明細を姫発から聞き出した。 そもそも急な旅行で、費用の問題があるのだが、そのへんは心配ないと姫発は言う。なんでもネットの抽選で当てたというクーポン券が手元にある、らしい。宿は修善寺だと言う。修善寺ってどのへんだっけ…地図がすぐに頭の中で出てはこない。 一泊二日、朝夕食付き。移動は姫発の新車で。ああ、あのヴィッツね…よりによってなんでピンクなんだろうなあと天禄は思ったモノだ。 「うん、じゃあ父さんにはそう話しとくからさ。また連絡する」 『あ、うん』 「ところでさ、発ちゃん」 『なんだ？』 「相方がキャンセルになった、って言ったよねさっき」 『あ…ああ』 天禄は受話器を置く前にツッコミを入れておくことにした。 「「相方」って、女のコだった？」 『………』 受話器の向こうで姫発が黙るのが判る。あ、図星じゃん…やっぱり（苦笑） それじゃあ！と天禄は電話を切った。 |
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ヴィッツでＧＯ！（2）(11/13)
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