今回は特に砂上楼閣なのでお許し下さい（爆）カップリングトークでしかも長いです。
封神のように登場人物の多い漫画では、主人公以外の横の関係を隈なく描くのは不可能だろうと思われます。紙数的にもそうだが、展開の早い週刊少年誌連載…封神はジャンプ漫画としても展開かなり早目ですからね。
レギュラー陣でも、エピソードを伴うような横の関係（脇キャラ同士の関係）は、一人当たり二つ三つに限られる。それだって合算するとエラい数なんだが。
登場時期が早く、主人公との関係も比較的薄いため、横関係に豊富なナタクの例で見てみましょう。

・李靖との父子ゲンカ
・太乙の親バカ
・天祥に「オレは死なん！」
・楊ゼンと金光聖母戦

李靖・太乙との関係は、これがなければ始まらないキャラ設定のデフォルトですが、天祥とはデフォルトではない。天祥とのエピソードを成立させるには、事前に接触を積み上げておくことが必要で、ナタクと天祥の接触は数こそ少ないが、初対面時からそのようなものになっている。

何も初めから「オレは死なん！」があったんじゃないと思います。だってだとしたらこんな初期から天化封神が決まっていたことに（爆）そりゃねえよ…それはないだろう！！（私情）。ではなくてのちに何らかの形でエピソードにできるよう布石を打っておいたわけですよね。安能版がナタク天祥なのを引き継いだ面も大きいんだろうが。

やっと本題に入ります（笑）
天化の場合、黄飛虎の存在が巨大だった上、太公望との関わりも深かったので、その他の関係を描ける余裕は事実上なかったと思われます。全体の出番バランスの中で天化に割り振られた紙数においては。
他でエピソードに至ったのはコーチくらいか。コーチくらいかって道天を軽視しているわけではありません…証明の要もないくらい根拠のしっかりしたカップリングだと思っております。書くとなぜか面白い人になってしまうんだがコーチ（爆）

天化は周軍レギュラー陣では比較的多くの相手と接触していて、まあ全員に近いですよね…。姫昌様と南宮カツは黄家的にオヤジの担当だから置くとして、自分の家族はもちろんですが、ナタク、カバっち、武吉ちゃん、楊ゼン、周公旦、姫発、蝉玉、モグラ…接してないのはコウモリくらい。

このうち姫発・蝉玉との接触は、不作為系ではなく布石系だった気がする。紙数やストーリー展開がしかるべき機会をもたらせば、何らかのエピソードが描かれたかもしれない。呪いの傷を受ける前、仙界大戦で話が整理されて天化の主題が定まる前の、まだいろいろな可能性があふれていた時期にこれらの接触があったのはそのせいではないか。
なぜって単なる勘なんですけど（自爆）。勘かオイ…。

蝉ちゃんのことは天蝉サイトで熱く語られていると思いますので（多分）、王サマの方を語りましょう。接触回数少ないぞ！なんたって天化の名前を呼んだことさえない（自爆）。

・王サマを守るのは俺っちの役目さ！
・このモグラッ！この王サマッ！
・おういスース！王サマを助けたさ
・封神諸氏百科のコメント役

ああっWJ特集ページのコメント役まで引き合いに出さねばならないのか！（泣）あんたそれでも強弁する気か！！でも天化と姫発を絡める意図は一時期だけどあったと思うんですよ〜。思うの〜。

初顔合わせ。解説不要の原点。
私は同年齢カップリングが好きなので、非常にツボでした。扉の二人はきっちり同年齢に見えますからね！（いきなり己の趣味を語ってどーする）
「逃げるさ、王サマ！」
「お…おう、太公望たちを呼んでくるぜ！」
このやりとりはいい。ここの天化は姫発に心から親しみを持っているのが分かる。まあナタクにも持ってたが、ナタク側の反応というものもあるので（笑）相性が良く仲が良く、でもまだ親交が発展途上な感じ。クラス替えで新しく友達になった高校生同士が、そろそろ夏休みという趣きでしょうか。
違う今回のテーマはそーゆー語りじゃないんだ、自粛自粛…（爆）

後で傍証を挙げますが、護衛設定は成り行き上のものではなかったと思います。姫発が自ずと接触するのは、立場上やはり武成王と軍師代理で、事実この二人との接点には事欠かない。そう特集ページまでカウントする必要などどこにもないくらい（というか多すぎてそもそも数えたりしないだろう…）。

天化と姫発は放っておいたら立場上の接触はなさそうだ。天化くんが軍機に携わっている姿など想像だにつかない（爆）このあとの接触がわざわざ設定されたと考えられる二しかないのは、成り行きに任せたら一生すれ違っていた現れでしょう。
でもこの初顔合わせがあるために、その後も友達でもおかしくないだろうと予測がつくここから天化封神の「わーってるよ」を導き出すのは正直辛いものがあるんですが（泣）

武王様足蹴事件。これは確かにネタですが、蝉玉と南宮カツはともかくも、何であそこで天化が蹴る…というのは皆さまお気づきの点かと思います。言ってしまえばツッコミ性格のなせるわざなんだが、ツッコミにしては感情的で踏み方にも腰が入っている。天化のツッコミは本来もっと冷静系ですからね。「役立ったのは耳せんだけさ」（←これ好きだ）「スース…横にタランチュラが」（←これも好き）。

告白すると次ページの妲己ちゃんを囲むコマ──黄飛虎と天化が相前後し、楊ゼンが姫発をかばっているという配置に、ああ護衛設定は私の幻想だったのか！と強烈な淋しさを覚えたものです（楊発の方には喜ぶべきカット）。天化くん大ボスを目前にして他を顧慮する人じゃないからね…（笑）

このコマの我田引水なもう一つの解釈としては、ここで天化が楊ゼンの立ち位置だったら、足蹴にした文脈上「ぷりんちゃ〜ん！」をやらせないために手を伸ばしているように見えないだろうか、という。それではまるでヤキモチですからね。いくらWJだってヤキモチに見えるだろう（そうか？）。
足蹴事件は私の理性の部分では、メインはネタだが若干の不自然さをおいても接触させる意図はあった、という解釈です。超・理性の部分では…それはとーぜんヤキモチさ！その場合モグラが同列でいいのか？という難点はあるのだが（←理性の声）。

楊任戦。ちっさいコマだが…（笑）私は布石性を確信する意味では、この接触に一番の根拠をおいています。結局これが最後になるので、日の名残りとも言えなくはないが…（しーん）。
ここで砂時計を壊すのは、天化と楊ゼンのどちらかでしょう。蝉ちゃんはわざわざ助けてくれなそうだし（なぜ）。三尖刀は遠隔攻撃もできるので、楊ゼンさんがぴゃっと壊してもよかったわけですよね。妲己にさらわれた時点から、今回の武王担当者は楊ゼンさんとも言えるので（「武王は無事でしょうか？」）その方が自然な流れだったかもしれない。

助けてコマに出るというだけなら出番バランスで説明もできるがこのセリフ、「おういスース！王サマを助けたさ」。スースに向かって王サマ救出報告、というのはネタでもなければ自然でもない。スースに言いつけられた護衛設定が生きているのでなければ、この言葉が出る文脈はない。

この唐突さは意図かなあと。そして再び超・理性の領域へ入ると、前後の経過、天化は敵へ向かうより先に砂時計へ向かったと思われる。敵地でのたのた歩く人ではないので、扉が開くと同時に走ってそっちへ行ったはずだ。またそうだからこそ、楊ゼンさんも砂時計は放っておいたのだろう。
「みんなで行ってタコ殴りにしてやるさ！」などと言っていた人が（しかも「また敵をやらねぇのか？」）。走って王サマを助けに行くなんて、ちゃんと護衛設定が生きてるじゃん！

諸氏百科。王様対決で紂王のコメンテーターが妲己ちゃん、武王が天化。…なぜ天化！？（笑）
見出しは「たよりねえけど、ニクめないさ！」（名言）。本文は「これからきっとい い王サマになるさ！」的内容でしたが、ちなみに我々は仙界大戦後の成長した武王が登場するまで、「天化だってアホ王サマとばかり思ってるわけじゃないよね」「コメントがあるから大丈夫だよ」と、自らを納得させる根拠にこの個所を使っておりました（そもそもアホ王サマと思っていた根拠がない）。
どうでも数に入れたいのは、ある意味ここの接触が一番濃いからかもしれません（爆）天化が王としての姫発をどう考えてるのかという未来につながる点が、本編には特に出てきませんでしたから。

断崖絶壁でおなじみの担当・シマ氏が作られた企画なのかは知りませんが、そーだとすれば「諸子百家」をもじって「諸氏百科」…（しーん）教養の深いクレバーな担当さんであろうと推察されます。
余談ですが「黄家の血（１）」、WJ連載時の扉は「少年　窮まりても堅なり　その志　磨すれどもうすろがず」という、天化への深い理解と思い入れを示す名文句でした。小学生には読めないと思うが（笑）つーか「うすろぐ」って漢字パソで出ませんがな…（きっとそれだけ思い入れあったんだよ）。

以上、勘どころを並べただけで何の論証にもなっていませんが（それは勘だから）、言わんとしている深読みの内容はお察し頂けたかと思います。
作為的な接触が途絶えるところから見て、姫発・蝉玉と天化のエピソードが描かれる可能性は、仙界大戦前には消えていました。蝉ちゃんのことは天蝉サイトで熱く語られていると思いますので、王サマの方を語りましょう…もし天化と姫発のエピソードが描かれたとしたら、一体どんなものだったのか？

我ながら雲をつかむような話ですが、暗示は牧野以降にあると思います。牧野イントロの回で二人が父の志を継ぐ者として並べられていること。天化封神時の姫発のセリフ「わーってるよ」。太公望の「天化が残してくれた最後の見せ場だ」。

黄飛虎の死後、天化は自分のなすべき事を考え続けて「オヤジの志した『殷を倒し周を造る』という理想…それを引き継ぐこと」と答えを出した。でも自分にはもう時間がないから、紂王を倒すことを証にしようとする。
文意の通りに受け取れば、時間があったら周の建国に従事したことになりませんか？（炊き出しとか得意そうだ…）。ここで「時間がねぇさ」って、朝歌入場にはあと半日もかからない。紂王戦後に「静かに余生を過ごす」と言っているのだから、今日明日に死ぬわけじゃない。革命の後に何かできるほどの余命がないから「時間がねぇさ」なんじゃないか。

妲己が残っている以上、むろん女カ戦にはついてったでしょーが、李靖のように道士をやめた人もいる。
まあそーゆーのは冗談として（冗談かい）、天化は周の創建に汚点をつけないために、紂王にとどめを刺さなかった。黄飛虎の志は私怨ではない。腐った国を倒すだけでなく、その後に造らねばならないものがあるから、首陽山をやらずに周の武成王になったわけですよね。

天化が黄飛虎から引き継いだ志と、姫発がこの時点で持っている志は、内容的に同じだと思います。「殺し合うって考えちゃいけねぇな」…姫発成長したよね…（しみじみ）。器大きくなったってホント。
それはどんな国にするとか殷みたいにはしないとかそんな次元の話ではなく、かつて武成王が「腐った国を守るよりもっと大切なもんがあるってわかんねぇのかよ」と言った「大切なもん」を自分自身より大切にすることです。

余談をやってると際限なく長くなるのでよくないが（爆）アニメ仙界伝でここのセリフは「人の命が天下国家の前にきて何がいけねえ！？」でした。そりゃ違うだろう！セリフのイミが逆だろう！！普賢くんの遺言はまるで伝わってなかったのね…
具体的な何にその義を見出すかはそれぞれで、例えば普賢くんは望ちゃんの志にそれを見出した。姫発は恐らく自力の成長で、天化は父の志を考えることで、同じ殷周革命にそれを見出した。

しかし姫発にも時間はなかった。というかなさそう（爆）絵を見るかぎり今日明日にも死にそうなんですけど…（あまり言うとみなみさんに落ち込まれます）。
ぎりっぎりになってたまたま同じ志を持つに至った二人のエピソードが描かれるとしたら、革命後の、未来に関するものであったと思います。しかし未来はなかった。

うう、雲をつかむような話だなあ（爆）砂上楼閣に屋上屋を架すようなトーク（しかも長い）でしたが、ここまで読んで下さった方（いるのか？）ありがとうございました〜。