アニメネタ２

桜木みなと

これは異次元の物語である。
西伯侯姫昌が次子、武王姫発はかなりあぶない軍国主義者だった。
どのくらいって、説得も試みずに崇城へ攻め込もうとするぐらい。
姫昌さま存命のため当面事なきを得ていたが、ある日とうとう武成王次男（仮名）が爆発した。
「王サマあんた暴君さ！自分勝手もいい加減にするさっ」
「てめぇっ！！臣下のクセに何言いやがる」
「俺っちアンタの家来じゃねぇさ！家来にしたけりゃ腕ずくでするさ！！」
「言いやがったなっ」
ガキン！
刃と刃がぶつかって火花が散った。異次元姫発は崇黒虎に一騎打ちを挑むほどの腕自慢である。
「うおぉぉっっ」
「王サマにしちゃ結構やるさ……でも接近戦で俺っちに勝てるヤツはちょっといねぇさ」
そこは仙道と人間、数十合も打ち合ううちに、姫発はじりじり追いつめられた。
「ぐあぁっ！」
「王サマ……とどめをさすさ」
剣を叩き落とされ膝をついた姫発に、天化が正眼の構えをしたその時である。
「疾ッッ！！」
打神鞭の一撃が天化の後頭部をヒットした。
「いってーなっ！何するさスースッ？！」
「ダアホッ！おぬしが武王をやっつけてどうする」
「だってこの王サマ頭にくるさっ。バカ殿の方がまだマシさっっ」
「だが、時折まともに戻ることもあるらしいぞ」
天化はギターを片手につかんで、皆にくるりと背を向けた。
「ちっっ、憂さ晴らしにナンパしてくるさ」
異次元の天化は割と女好きだった。

「……う、う～ん、…」
「王サマ？王サマ！！」
「……あれ…」
「ナニ寝ぼけてるさ。ずっとうなされてたさ」
「いま……すっげぇコワい夢……」
「紂王にでも頭からバリバリ食われたさ？」（注：これは品川さんの見た夢）
「…ナンでそーゆー……ひでぇコト言うんだよ」
「じゃあどんな夢だったさ」
「えーと……？」

異次元は多数存在した。
「お？ナンなんだよ、あの連中」
小高い丘で一服していた天化に、空中から雷震子が話しかける。
眼下では、象レース場の建設現場を大勢の市民が手伝っていた。
「姫発に恩を返したいって自発的に来てるさ。街で困った人を見ると放っとけなくて、貧しい家の出産費用を立て替えたりとかしてたらしいさ」（あんたの子供じゃねーだろーな…）
「へー……それで借金12億ってか」
「でもキャバクラやホモバーからツケの取り立てが来てるのも事実さ」
脱力してガクリと首を垂れる雷震子。
「ちい兄……場所選んで遊べよ……」
「まったくさ……」
天化は吸いさしを地面に落として踵でガシガシ踏みにじった。
「まったくさ！気が知れねぇさっっ！バカ王サマッッ！！」
現場は昼食の時間にさしかかって、人々が幕の内を広げている。
「ようっ！オメーらも手伝えよっ。弁当食わしてやっからよっ」
「あー、ちい兄ィ。身内として忠告してぇんだけど……」
「うるさいさ！！オカマにでもナンでも手伝ってもらうがいいさっ」

「ぎゃぁあぁっ」
「うるさいさっ！夜中に何度もめーわくさっっ」
「はぁ、あ、夢か……オレの借金が12億に……」
「アンタの借金は100億円さ。ゼロいっこ足んねぇさ」
「……アレは太公望と連帯責任だろっ？！オレ個人のはたったの1億だぜっ」
「威張れるコトさ……？それにレース場はどーしたさ」
「まぁ、正確に言うと2億くれぇかもな」

「…タバコ……どこ隠したさ……」
「……はぁ？」
天化の右手が寝たままガサガサ周りを探る。
（……ナンだよ、自分だって寝言言ってんじゃん）
「…俺っちはキリンじゃねーさ……木の枝なんか食えねぇさ」
「ぷっっ」
「コーチ」
「？」
「コーチ……どこ行ったさ？どこにも居ねぇ…」
姫発は天化の鼻を思い切りつまんだ。
「おい」
「ん、んぁ……王サマ…？」
「どんな夢見てたんだよ？」
「俺っち夢なんか見てねーさ」
「寝言いってたぜ」
「どんな」
「コーチ……が居ねぇとかなんとか」
へぇ、と天化は呟いた。
「覚えてねぇけど」

「そーいや王サマもお兄サンのコト言ってたさ」
「え……どんなっ？」
「あんちゃん、ナンでのび太みてーな服着てんだよっ、て」

西の彼方では太上老君が女カの夢に漂っていた。東では殷の紂王が甘い霞の中にいる。

ええと…みなみさん色々貸してくれてありがとう（こんなとこで礼を言っても）。
借金12億はCDドラマの２枚目で、他はアニメですね。アニメ伯兄の子供時代、服がホントにのび太くんだったんだよ～。あとCDドラマで王サマを「姫発」呼ばわりする天化くんには笑いました。なんだ名前ちゃんと覚えてるんじゃん！！（それ絶対に違うだろう）

みなみん（解説）：つーわけで「紂王に頭からバリバリ食われる夢」ですがええと…姫発が刺された週のＷＪ、早売りを読んだ某さんから今にも泣きそうなファックスが来まして、とても気になっていたのですよ日曜日の夜。とりあえず姫発がヒドい目に遭うのかそれてもなんかとんでもない真似をするのかというのだけは想像がついたんですけど、まあやっぱり気になって、その晩見たのが、翌朝のコンビニでジャンプを読む夢。夢の中のジャンプでは発ちゃんが紂王に頭からバリバリ食われてましてな…（爆）こりゃひでーやと笑ってましたよ私（笑うな。つーか笑うしかあるまいよそれ…）あ、でも噛まれてなかったかなあ丸飲みだったかもしれない。旧約聖書のように鯨に丸飲みされても生きてます！みたいな（笑）ホラ、所詮姫発が可愛い女だからこの人（笑）ってゆーか夢でまでネタを出してどうするよ自分。